「習い事の月謝値上げ」伝え方と例文まとめ！保護者に納得される文章の書き方

物価や人件費の上昇が続く中、多くの教室が料金を見直しています。

とはいえ、保護者への伝え方を間違えると、不信感や退会につながることも。

そのまま使えるフルバージョン例文も掲載していますので、安心して値上げを伝えられるようになります。

保護者に納得される伝え方のコツを学び、信頼を保ったままスムーズに料金改定を行いましょう。

習い事の月謝値上げが相次ぐ背景

ここ数年、多くの習い事教室で月謝の値上げが進んでいます。

ピアノ、英語、水泳、学習塾などジャンルを問わず、料金改定を決断する教室が増えているのが現状です。

この記事では、こうした動きの背景にある要因を整理し、教室運営者が状況をどう捉えるべきかを解説します。

2025年の現状──値上げが止まらない理由

2025年現在、習い事の月謝値上げは「例外ではなく一般的な動き」になっています。

背景には、教室の運営に必要なコスト全般の上昇があります。

たとえば、教材や備品の仕入れ価格が上がったり、スタッフの人件費が増加したりと、以前と同じサービスを提供するだけでも経費が高くなっています。

教室によっては、質の維持や講師の確保のために、やむを得ず値上げを決断しているケースも少なくありません。

主なコスト上昇項目	内容
教材費	教科書・参考書・楽譜などの価格上昇
施設費	光熱費や設備維持費の増加
人件費	講師やサポートスタッフの報酬上昇

どの習い事が特に値上げしている？最新データ

値上げの動きは、ジャンルによって差があります。

最も影響が大きいのは学習塾で、次いでスイミング、ピアノ、英会話などの教室が続きます。

特に人材を多く抱える教室ほど、経費の増加が直撃しやすい傾向があります。

ジャンル	平均的な値上げ幅
学習塾	5〜15％程度
スイミングスクール	500〜1500円前後
英会話・語学教室	5〜10％程度
音楽・ピアノ教室	1000円前後

ジャンルを問わず、値上げは「質を守るための必要な対応」として受け止められつつあります。

教室側と保護者、それぞれの本音

教室運営者にとっては、値上げは避けたい判断です。

しかし、講師の質を維持し、通いやすい環境を保つためには、一定の見直しが欠かせません。

一方で、保護者の立場からすれば、家計への影響を心配する声も多く、理解を得るための説明や配慮が重要になります。

「なぜ必要なのか」「どんな工夫をしているのか」を誠実に伝えることで、納得を得やすくなります。

値上げは一方的な通知ではなく、信頼を築くためのコミュニケーションのきっかけと捉えることが大切です。

月謝を値上げするべきかどうかの判断ポイント

月謝を上げるかどうかの判断は、経営者にとって非常に悩ましい問題です。

単に「周囲が値上げしているから」という理由で決めるのではなく、教室の現状と今後の運営方針を踏まえて慎重に見極めることが大切です。

ここでは、値上げを検討する際に確認すべき基準や、見直しのためのチェックリストを紹介します。

値上げのサインを見逃さないためのチェックリスト

まずは、今の運営状態を客観的に見直してみましょう。

以下のようなサインが複数当てはまる場合は、値上げを検討するタイミングかもしれません。

チェック項目	状況の目安
経費の上昇が続いている	教材費・光熱費・賃料などが前年比5％以上増加
利益率が下がっている	月謝収入からの余剰が減少し、講師報酬が圧迫されている
講師の定着率が低下	報酬が周囲より低く、離職が増えている
設備や教材の更新が難しくなっている	古い備品のままで改善投資ができない

「値上げ＝悪」ではなく、教室を守るための健全な経営判断と捉えることが重要です。

値上げせずに乗り切れるケースもある？

すべての教室が必ずしも値上げをする必要はありません。

経費の見直しや運営効率化で、月謝を据え置きにできるケースもあります。

たとえば、印刷物のデジタル化、備品の共同購入、光熱費の節約など、固定費を減らす工夫も効果的です。

コスト削減の具体例	期待できる効果
オンライン連絡ツール導入	紙代・郵送費の削減
備品のシェアリング	教材・器具購入費の軽減
教室の時間帯最適化	光熱費の抑制

ただし、こうした工夫にも限界があります。

「努力しても維持が難しい」と感じたら、値上げを前向きに検討するサインです。

値上げを決断したときの「正しい進め方」

値上げを決めた場合は、まず「誰に」「いつ」「どのように」伝えるかの計画を立てましょう。

突然の告知では反発を招きやすく、慎重なステップが必要です。

• ① 目的を明確にする（例：講師の質維持、教材改善など）
• ② 社内・講師間で情報共有を行う
• ③ 通知文を準備し、保護者に誠実に説明する
• ④ 値上げ後のサービス向上策を発表する

特に、「理由の透明性」と「改善の具体性」は、保護者の理解を得る最大のポイントです。

単に「上がります」ではなく、「なぜ必要か」「どんな価値が加わるか」を説明することで、信頼を失わずに料金改定を進めることができます。

月謝値上げの適正幅と伝えるタイミング

値上げを決断した後に悩むのが、「どのくらい上げるか」と「いつ伝えるか」です。

この2つを誤ると、保護者の不信感につながりかねません。

ここでは、教室運営者が無理なく、かつ理解を得られる形で値上げを実施するためのポイントを解説します。

目安は「10〜15％」──無理のない改定ライン

一般的に、習い事の月謝値上げの目安は10〜15％程度とされています。

たとえば月謝が10,000円なら、1,000円〜1,500円の上昇が妥当です。

この範囲であれば、保護者も「納得できる範囲」と感じるケースが多いです。

月謝金額	10％アップ	15％アップ
8,000円	8,800円	9,200円
10,000円	11,000円	11,500円
12,000円	13,200円	13,800円

値上げ幅が15％を超える場合は、段階的な改定を検討するのが安全です。

たとえば、「今年は5％、来年はさらに10％」というように、時間をかけて調整すれば、保護者への心理的な負担を減らすことができます。

告知は3〜6ヶ月前が理想の理由

値上げは、伝えるタイミングが非常に重要です。

理想的な告知時期は、改定の3〜6ヶ月前。

この期間を設けることで、保護者が家計を調整する時間を確保でき、納得を得やすくなります。

• 早すぎる：1年以上前 → 変化への実感が薄く、忘れられる可能性がある
• 遅すぎる：1ヶ月前未満 → 「急で困る」と不満が出やすい

保護者が“準備できる時間”を提供することが、信頼維持の第一歩です。

理解を得られる「伝え方」の黄金法則

同じ内容でも、「伝え方」次第で印象は大きく変わります。

以下の3つのポイントを押さえておくと、保護者からの理解を得やすくなります。

ポイント	説明の仕方
1. 理由を明確に伝える	「人件費や教材費が上がったため」と具体的に伝える
2. 教室の努力も示す	「経費削減など努力しましたが限界がある」など
3. 値上げ後のメリットを伝える	「より良い指導環境を整えます」と前向きな要素を含める

“値上げの理由”と“教室の努力”をセットで伝えることが、信頼を得るための最も重要な要素です。

「申し訳ない」という姿勢だけでなく、「より良くするために必要な一歩です」と前向きに伝えることが、誠実で伝わりやすい方法です。

習い事の月謝値上げに使える例文テンプレート集

ここでは、保護者への連絡文・掲示・SNSなど、あらゆるシーンで使える例文を紹介します。

どの文章も、言葉遣いを柔らかくしながら誠実さを伝える構成にしています。

値上げは「信頼を深める説明のチャンス」です。文章全体のトーンを落ち着かせ、前向きな姿勢を示しましょう。

【基本形】誠実に伝えるオーソドックスな例文

最も汎用的で、どの教室でも使いやすい形式です。

事務的になりすぎず、誠実な印象を与えます。

平素より当教室をご利用いただきまして誠にありがとうございます。

このたび、運営にかかる諸経費の上昇に伴い、誠に心苦しいのですが、月謝の改定を実施させていただくこととなりました。

〇年〇月より、新しい月謝は〇〇円とさせていただきます。

これからも皆さまに安心して通っていただける環境づくりと、より良い指導内容の提供に努めてまいります。

ご理解賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

【前向き型】成長・質向上を軸にした例文

値上げを「サービス向上のための投資」として伝えるパターンです。

新しい取り組みや改善計画を具体的に添えることで、前向きな印象を与えます。

いつも当スクールをご利用いただきありがとうございます。

このたび、より良い指導環境を整えるため、月謝の一部を改定させていただくことになりました。

講師体制の強化や教材の充実、教室設備の改善を行い、より充実したレッスンをお届けいたします。

新料金は〇年〇月より〇〇円となります。

皆さまにご満足いただけるよう、今後も努力してまいります。

【やわらか配慮型】保護者への気遣いを重視した例文

特に保護者への印象をやわらかくしたい場合に最適です。

謝意を多く含めることで、受け取る側の心理的抵抗を和らげます。

日頃より温かいご支援を賜り、心より感謝申し上げます。

大変恐縮ではございますが、近年の運営コスト上昇により、〇年〇月より月謝を改定させていただく運びとなりました。

これまで以上に、子どもたちが安心して楽しく通える教室づくりに努めてまいります。

ご負担をおかけいたしますが、何卒ご理解とご協力をお願い申し上げます。

【SNS・LINE配信用】短文で伝わるお知らせ例文

SNSやLINE公式アカウントなどで発信する場合は、短く・わかりやすくまとめます。

テンポよく、要点を1〜2文で伝えるのがポイントです。

【お知らせ】

〇年〇月より、教室運営にかかる費用上昇のため、月謝を改定させていただきます。

今後もより良い指導環境を整えてまいりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

【対面・個別連絡向け】言いづらさを和らげる口頭例文

保護者と直接話す際に使える言い回しです。

柔らかい表現と前向きなトーンを意識しましょう。

• 「これまでの料金で続ける努力をしてきましたが、どうしても維持が難しくなり…」
• 「ご負担をお願いする形になり恐縮ですが、質を保つために必要な改定と考えています。」
• 「料金改定後も、これまで以上に安心して通っていただけるよう努めます。」

【フルバージョン例文】そのまま使える全文テンプレート

教室の掲示・メール・印刷配布などにそのまま使用できる形式です。

正式通知文としても使える内容になっています。

平素より〇〇教室をご利用いただき、誠にありがとうございます。

皆さまに支えられ、今日まで運営を続けてまいりましたこと、心より御礼申し上げます。

このたび、教室運営に関わる諸経費の高騰に伴い、やむを得ず月謝の改定を行うこととなりました。

新しい月謝は以下のとおりです。

改定前	改定後	改定適用月
10,000円	11,000円	〇年〇月

これまで同様、一人ひとりの成長を大切にし、より良い学びの場を提供できるよう講師一同努めてまいります。

ご理解賜りますようお願い申し上げます。

今後とも変わらぬご支援のほど、よろしくお願いいたします。

〇〇教室　代表　〇〇〇〇

フルバージョン例文は、保護者配布・掲示物・メールいずれにも対応可能です。必要に応じて数字や日付を差し替えてご使用ください。

値上げ後のフォローで信頼を守る方法

値上げの告知を無事に終えても、そこがゴールではありません。

むしろ、値上げ後の対応こそが教室への信頼を左右する重要なポイントです。

ここでは、値上げ後の3ヶ月間で実践すべきフォローの方法と、信頼を維持するための言葉がけ例を紹介します。

値上げ後3ヶ月が勝負！フォローすべき3つの行動

値上げ直後の3ヶ月は、保護者が「教室の変化」を最も敏感に感じ取る時期です。

この期間に誠実な対応を重ねることで、「値上げしてよかった」と思ってもらえる関係を築けます。

フォローの行動	目的	具体例
① レッスン品質の向上を見せる	値上げ分の納得感を高める	教材の刷新、レッスン時間の有効活用など
② 保護者への小まめな報告	安心感を与え、信頼を維持する	「お子さんの成長のご様子」を積極的に共有
③ フィードバックの機会を設ける	意見を聞き、改善につなげる	簡単なアンケートや保護者面談など

「値上げ＝改善のスタート」と考え、行動で信頼を積み重ねることが大切です。

保護者対応で使えるフォロー文例

フォローの際に使える短いメッセージやお礼文の例をいくつか紹介します。

メールやお便り、掲示など、さまざまな場面で活用できます。

• 「このたびの料金改定にご理解を賜り、誠にありがとうございます。」
• 「皆さまのおかげで、より良いレッスン環境を整えることができました。」
• 「引き続き、子どもたち一人ひとりの成長をサポートしてまいります。」
• 「率直なご意見もぜひお聞かせください。今後の改善に活かしてまいります。」

こうした一言を定期的に発信することで、教室の誠実な姿勢が伝わります。

「伝えっぱなし」にせず、感謝と改善の姿勢を続けることが、離脱を防ぐ最大の鍵です。

値上げを好印象に変えるアフターコミュニケーション

値上げ後の印象を良くするためには、「変化を感じさせる工夫」が効果的です。

たとえば、以下のような取り組みを発信してみましょう。

取り組み例	発信のポイント
レッスン内容の改善	「教材を新しくしました」「個別サポートを強化しました」など、具体的に伝える
教室環境の整備	「より快適な学びの空間づくりに取り組んでいます」と写真付きで紹介
イベントや交流の機会	「感謝の気持ちを込めた交流イベントを開催しました」と報告する

値上げを“改善のきっかけ”として発信すれば、教室の印象はむしろ好転します。

保護者は「値上げそのもの」よりも、「値上げ後の変化」に注目しています。

小さな改善でも、それを言葉や行動で示すことで、安心感と信頼が育まれます。

まとめ：誠実な値上げが信頼を生む

ここまで、習い事の月謝値上げについて、背景・判断基準・伝え方・例文・フォロー方法までを解説してきました。

値上げは、どんな教室にとっても勇気のいる決断です。

しかし、誠実に理由を説明し、努力の姿勢を示すことで、保護者との関係をより強固なものにできます。

値上げは「終わり」ではなく信頼構築のスタート

値上げを単なる金額変更と捉えるのではなく、教室の成長と品質向上のためのステップと考えましょう。

「質を下げないための改定」ではなく、「より良い環境を提供するための投資」という視点が大切です。

その姿勢が伝われば、保護者も納得して応援してくれます。

値上げを伝える際の基本姿勢	ポイント
誠実さ	率直に理由を伝える
透明性	どんな改善に使うのかを具体的に説明する
感謝	理解と協力に対して丁寧にお礼を伝える

誠実に伝え、行動で示す。これが「値上げで信頼を得る」唯一の方法です。

教室の未来を守るための一歩としての値上げ

多くの教室が共通して抱える課題は、「続けるためにどうするか」ということです。

月謝改定は、その答えのひとつ。

長く生徒を支え、講師が安心して指導できる環境を守るために、必要な決断です。

そして、その決断を支えるのは、保護者との信頼関係です。

値上げを恐れず、誠実に、前向きに伝える。

その姿勢こそが、教室の未来を照らす最大の力になります。